松本監督にインタビューを行いました。

―なぜ折り鶴のキセキの撮影依頼を受けようと思ったのですか?

前年に長崎で「a hope of NAGASAKI 優しい人たち」という被ばく体験者の証言ドキュメンタリーを撮りました。2020年石原さん(当映画のプロデューサー)が別件のプロジェクトで一緒に活動していた佐々木祐滋さんとつないでくれたのがきっかけになって依頼をうけることに。

僕もちょうど長崎をやっている最中だったから、長崎をやったのなら広島の声も聞きたいという気持ちが強くあって、この依頼を受けたとき『リレーのようにいいタイミングでつながった。これはもう条件どうのこうのではなくて、やった方がいい』と感じました。

―撮影依頼を受ける前に、「禎子さん」のことを知っていましたか?

正直知りませんでした。僕自身、広島に行ったことがなく、禎子さんの像がある事も知らなかったのですが、祐滋さんに聞いたりして調べていくうちに、そうなんだ、そうなんだ、と惹きつけられていきましたね。

―「禎子さん」のことを調べたときの第一印象はどういうものでしたか?

この話って本当なのかな?という印象。というのも、禎子さんの話ってすごくきれいで、ストーリー的ですよね。もっと人間的な部分に触れてみたいと思って実際に調べていくうちに、この話を伝える側で関われるのは、最高の話だなと感じるようになりました。一方でやり方を間違えるとただの自己満の自伝になってしまうので、これから相当悩みますね。

―「a hope of NAGASAKI 優しい人たち」で聞いた話と佐々木さんの話、禎子さんの話に共通点はありますか?

それは特に祐滋さんのお父さん(雅弘さん)のインタビューをやったときに、こっちから直接尋ねたわけでもないのに出た、「アメリカ兵を恨んでいない」っていう言葉。この言葉は「a hope of NAGASAKI 優しい人たち」でインタビューしたおじいさん、おばあさんたちも共通して言っていて、それを広島の雅弘さんが言ったということ自体が最大の衝撃だったかな。

「祈りの長崎、怒りの広島」と表現されるくらい、原爆に対しての思いが長崎と広島で表現が違う中で、『アメリカ人を恨んでいない』という、ポジティブな発信をされる方がいる事に驚きを感じたし、それが長崎との共通点にもなり得ますよね。

―被爆者の声を実際に生で聞ける機会は年々少なくなっていますが、この映画をどういうアーカイブとして撮りたいですか?

『これを言わなければ』という準備された言葉では気持ちを伝えられない。やっぱり素の状態で、会話の中のはずみの中で出てくる、その人自身に息づいている普通の言葉で伝わるように心掛けていきたいと思っています。

―世界中でコロナが流行していたり、アメリカの選挙で分断が起こったりしているこの状況で、この作品を撮ることをどう考えてますか?

長崎で撮影している最中に、コロナが世界的に流行し始めて、日本も含めて世界的に差別だとか医療従事者に対しての配慮だとか、本当にもう一度考えないといけない。この状況で差別が起きているということは、僕が取材したおばあさん、おじいさんたちが75年前に経験したことと全く同じ状態。いろいろな技術が進歩して、暮らしやすくなって、表面上のものはすごく向上しているけれど、実は人間の内面的なものって変わっていないんだな、と改めて実感しました。

この映画が、差別や区別だとかを「何、それ?馬鹿じゃない」って言えるような、若い世代のマインドを形成できるようなツールの一つになったらすごく嬉しいですね。

今の10代の世代が、今と同じマインドでいったら同じ結論しか生み出せないですから。

―監督自身の考え、例えばアメリカが下した原爆を落とすという決定についてどう思うかなど、直接強く映画に反映させる予定ですか?それとも中立に、撮れたものをどちらかのサイド過不足なく作品にするつもりですか?

今回のドキュメンタリーって、口述なんですよ。オーラルヒストリードキュメンタリーって言われる、証言者たちの声を集めたものなんで、たぶんそこは偏ってはいけないと僕は思っています。

偏りなく、例えば国益優先の人もいれば、戦争反対の人もいれば、中立の人もいる。ここで一番大事なのは、それを平等にきちんと発信していくこと。

あくまで作品としては、中立な立場で作り上げていきたいと思いますね。だからある人に聞いたら、たぶんこの人も聞かなければならないというようなことがでてくると思う。その「この人」に聞く努力はしようと思っています。そこは積み上げなければ、と思っていますね。

―最後にこの作品を撮るときに特に気を付ける点、気に掛けることは何ですか?

要するにおじいさん、おばあさんの素の状態でいてもらうことかな。そうしないと、答えを用意してきてしまうので。こう答えなければとか、こういう風に答えようとか吟味してしまうと、言葉って変わってしまう。

あくまでおじいさん、おばあさんが経験したこと、それを素直になんの飾りもない状態で語ってもらって初めて、何が当時起きていたのかっていうのを中立に表現できるのかなと思っています。

インタビュアー 藤江敬大

プロフィール 松本和巳【KAZUMI MATSUMOTO】

映画監督/演出家/劇団マツモトカズミ 主宰/ラジオDJ/フォトグラファー

一般社団法人シンプルライフ協会 代表理事

一般社団法人日本シングルマザー協会  顧問

NPO法人子育てパレット 顧問

NPO法人Support for Woman’s Happiness  顧問

【映画製作】

simgle mom 優しい家族

a hope of NAGASAKI  優しい人たち

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